C++BuilderでのTServerSocketの使用方法

C++BuilderでのTServerSocketコンポーネントの使用法を、実際に動作確認用のテストプログラムを作成しながら説明します。

TServerSocketコンポーネントは、VCL用のコンポーネントですので、Windows専用のコンポーネントとなります。

尚、実際にプログラムの動作確認を行うには、TClientSocket用のテストプログラムも必要となりますので、以下の記事も参照ください。

TClientSocketの使い方、テストプログラムにつきましては、こちらの記事をご覧ください。

ソケットコンポーネントはデフォルトではインストールされません。インストール方法は以下の記事を参照してください。

TClientSocket, TServerSocketのインストールは、こちらの記事をご覧ください。

プロジェクトの作成
TServerSocketコンポーネントのイベントの追加
TServerSocketコンポーネントの接続処理
TServerSocketコンポーネントのイベント内での処理
データの送信
再接続処理
参考URL

プロジェクトの作成

C++Builderで、初めてのプロジェクト作成で、説明した「SDIアプリケーション」をベースにテストプログラムを作成します。

プロジェクト名を、”server_test”に変更します。（プロジェクト名の変更を参照してください。）

次に、メッセージの表示用に、TMemoコンポーネントをDropし、Alignプロパティを”alClient”に設定します。

それから、TServerSocketコンポーネントをDropします。

最初のイベント処理を追加するを参考に、以下のイベントを追加しておきましょう。

イベント	説明
OnShow	フォームが表示されたとき（フォームの Visible プロパティが true に設定されている場合）に発生します。
OnCloseQuery	問い合わせを終了しようとしたときに発生します。
OnClose	フォームを閉じたときに発生します。

プロジェクトファイルのダウンロードはこちらから

server_test ダウンロード

TServerSocketコンポーネントのイベントの追加

TServerSocketコンポーネントの以下の4つのイベントを追加します。

イベント	説明
OnClientConnect	クライアントソケットがサーバーソケットによって受け入れられた接続を完了したときに発生します。
OnClientDisconnect	クライアントソケットへの接続の 1 つをクローズしたときに発生します。
OnClientError	個々のクライアントソケットへのソケット接続の確立，使用，または終了で失敗が生じたときに発生します。
OnClientRead	サーバーソケットがクライアントソケットから情報を読み取らなければならないときに発生します。

TServerSocketコンポーネントの接続処理

TServerSocketコンポーネントに、接続を待つPort番号を設定して、Activeプロパティをtrueにします。

Open()メソッドを実行しても良いですね。Open()メソッドを実行すると、Activeプロパティはtrueとなります。

このコードは、コンストラクタか、OnShowイベントで実行すれば良いでしょう。

__fastcall TSDIAppForm::TSDIAppForm(TComponent *AOwner)
    : TForm(AOwner)
{
    ServerSocket1->Port = 2000;
    ServerSocket1->Active   = true;
}

TServerSocketコンポーネントのイベント内での処理

テストアプリケーションのTClientSocketコンポーネントのイベント内での処理を以下に示します。

OnClientConnectイベント

接続が完了した時に、Memo1にメッセージを表示しています。

void __fastcall TSDIAppForm::ServerSocket1ClientConnect(TObject *Sender, TCustomWinSocket *Socket)
{
    Memo1->Lines->Add("ServerSocket1ClientConnect");
}

OnClientDisconnectイベント

接続が切れた時に、Memo1にメッセージを表示しています。

void __fastcall TSDIAppForm::ServerSocket1ClientDisconnect(TObject *Sender, TCustomWinSocket *Socket)
{
    Memo1->Lines->Add("ServerSocket1ClientDisconnect");
}

OnErrorイベント

エラーが発生したときの処理の例です。

void __fastcall TSDIAppForm::ServerSocket1ClientError(TObject *Sender, TCustomWinSocket *Socket,
          TErrorEvent ErrorEvent, int &ErrorCode)
{
    Socket->Close();
    ErrorCode   =0;
}

OnClientReadイベント

クライアント側からの送信データを受信し、Memo1に表示しています。

クライアントの接続数は、考慮していません。

ReceiveLength()で、送られて来たデータ長を取得し、ReceiveBuf()で実際にデータを受信します。

サーバーからのデータは、1バイトの文字データを想定してます。

実際には、もう少し複雑な処理になると思います。

void __fastcall TSDIAppForm::ServerSocket1ClientRead(TObject *Sender, TCustomWinSocket *Socket)
{
    char buf[1024];
    int Size = Socket->ReceiveLength();
    if(Size > 1024) Size = 1024;
    Socket->ReceiveBuf(buf, Size);

    // 受信データが、ASCIIコードの文字の場合
    String wstr = "";
    for(int i=0;i<Size;i++)
    {
        wstr += buf[i];
    }
    Memo1->Lines->Add(buf);
}

データの送信

簡単に実装するために、ファイルの作成イベント（FileNew1）に、データ送信の処理を追加しました。

データの送信は、Socket->SendBuf()関数を使用します。

ここでも、クライアントの接続数は、考慮していません。

void __fastcall TSDIAppForm::FileNew1Execute(TObject *Sender)
{
    char str[]  = "Server Test";

    int num = ServerSocket1->Socket->ActiveConnections -1;
    ServerSocket1->Socket->Connections[num]->SendBuf(str, sizeof(str));
}